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みんな技術の話しすぎ! って話
ブロックチェーン、マイニング、公開暗号鍵、秘密暗号鍵、P2P、DAO、ピザンチン将軍問題、スマートコントラクト……
いや初めてビットコインに触れるような人にそんな話してもわけわかめじゃん!
楽しいのはわかる。新しいおもちゃを人に自慢したい気持ちすごくよくわかる、けど、そういう難しい技術タームなしでもビットコインの魅力は伝えられるはず!
というわけで、これは上に書いた単語禁止で、ビットコインの何がすごいのかを説明する記事である。
ちなみにビットコインは仮想通貨の一種である。
ビットコイン(仮想通貨)ってなに
『クレジットカード会社や銀行がなくてもネット上でデータとしてやり取りできるお金』
クレカ会社や銀行と書きましたが国や企業すら必要ありません。電気とインターネットは必要です。なのでビットコインか、その他の仮想通貨が本気で普及するとクレカ会社と銀行は潰れるか、なにか他のものに変化するしかありません。
ちょっとまってクレカじゃダメなの?
いいえ。クレカでもいいです。
でも、クレカより簡単で、クレカではできないこともできます。
クレカより簡単というのは「お金をメールで送れるようになった」というイメージです。(実際にメッセージも送れる仮想通貨も多いです)
クレカでできないことというのはメールのように「アドレス」を持っている人ならだれにでも! すぐに! 送れる、という点です。
これまでお金を人に渡す方法は直接手渡す、現金書留で郵送する、ATMで口座に送金する、クレカで支払う(一部法人相手のみ)などの方法がありました。
でも、メールで友達にお金を送る方法はありませんでした。なぜでしょうか?これがわからないと仮想通貨の意味が分かりません
たとえ話で説明してみましょう
お金メールで送れないのはなぜか? いや送れる!?
たとえば……
ある学生が生活費を使い込み、月末に1万円を送ってくれと親に泣きつくメールをしたとする。親はメールに「1万円」と書いて送ってきた。そのメールを銀行員に見せて一万円と交換してくれと言っても、交換してもらえません。なぜなら一万円という言葉は一万円ではないから。ここまでは当たり前です。
さらに催促すると、親は今度は本物の1万円札をスキャンして送ってきた。そこで学生はコンビニのコピー機で出力して使おうとした。店員に通報された。
当たり前です。当たり前ですが、当たり前でしょうか?
ちょっと先入観をなくして考えてみると、コピーして通報されるのって「お金」か「児童ポルノ」くらい。これにより少なくともお金は「児童ポルノ」くらいに異常なものであることがわかりますね。
というのは冗談として、お金はなんでコピーしてはいけないのかという理由は簡単です。
→お金がコピーできたらみんな無限にコピーするのでみんなお金持ちになる。
→みんなお金持ちになるとみんなたくさんモノを買う。でもお金持ちなのでモノを作ったり売ったりする動機もなくなる。
→モノがなくなる。
→モノがなくなるといくらお金があっても何も買えなくなる。
→みんな飢えて死ぬ。
なのでみんなが飢えて死なないようにお金はコピーしてはいけないと決まっているのです。インフレがどうとかは些末なことです。簡単なことを説明するのに難しい言葉を使うやつは信用してはいけません。
そういうわけで、親が送ってきた1万円の画像はお金としては使えません。
ところが、この学生がメールの1万円をお金にする方法があります。
友人のお金持ちの学生にメールを見せて、たとえばこういう話を持ち掛けます
「親がこの1万円を送ってくれるが、いろいろあって銀行で受け取れないので時間がかかる。腹が減って死にそうなので今すぐ一万円貸してくれたらあとでこの一万円で返す」
お金もちは大抵いいやつなので9千円くらいなら、お金を貸してくれるでしょう。
お金とは信用そのもの
上のつたないたとえ話で伝えたかったのはこれです。
コンビニの店員は通報したのに、金持ちの友人がメールを見てお金を貸してくれるのは、友人を信用していたからです。
ある人には無価値なメールの内容でも金持ちの友人にはお金をかすだけの根拠になります。
信用があるから。
実は本物の1万円でも同じです。
1万円札が1万円札として通用するのは、それに1万円の価値があるとみんなが信用しているからです。
通用する貨(モノ)と書いて通貨という
実はお金を送る=価値を送るには信頼できる他人が絶対に必要です。
たとえメールでも相手が信用できるのならば、上の例のようにお金を送ることができます。
今回は90%しか送れませんでしたが、100%信用できるなら、100%のお金を送れます!
ただし、自分(学生)と、お金を送ってくる相手(親)だけではなく、お金を次に使う相手(上の例だとお金持ちの学生)、にも信用が必要です。
さらに次の相手にも、次の相手にも使える=通用するならそれは通貨です。
でもさっき書いたように簡単にコピーできるものは「みんな飢えて死ぬ」ので信用されませんし、通貨にもなれません。
なのでメールの内容のようなデータは通貨にはなれなかったのです。
これがビットコイン以前の話です。
ビットコインはデータだけど現物、現ナマ、つまり現金
です。
信用はもう必要ありません。
なぜかというと、本当にビットコインが自分に渡されたかどうかは公開されているデータベースを参照すれば「自分で」確認できるからです。
その上データベースは特殊な手法で保護されているので、書き込むことができて全部公開されているのにも関わらず後から改ざんすることができません。
理論上は誰にもできないようになっています。
なので自分にビットコインが移動したことを一度確認すればそれは未来永劫確定された事実にであることを確認したことになるわけです。
その代わり現金なので、落としたり、間違って誰かに渡しちゃったりしたらビットコインは戻ってきません。
データベースを後から書き換えることは本人にも、ビットコインの創造主*1ですらできないからです。
現金なので拾ったお金は本人に返すこともできるし猫ババして使うこともできます。
ちなみにデータベースに書き込むときのルールでコピーを禁止しているので、ビットコインはコピーすることはできません。
なんの意味があるの? どう生活が変わるの?
インターネットで個人の情報発信がこれまでにないほど増え情報のやり取りがめちゃくちゃ盛んになったように、
ビットコインなどの仮想通貨が普及すると、個人でのお金のやり取りが増え、個人同士での商取引を含む経済活動がむちゃくちゃ盛んになります。
個人でお金を集めることも簡単になるし、誰かに投資することも簡単になります。
これまでは個人の「経済活動」はいろんな「自由な消費」と特定の企業に参画しての「自由でない生産活動」が主でしたが、
「自由な消費」と「自由な生産活動」という完全に自由な「経済活動」が行えるようになります。
お金を預かる銀行はもちろん、株式会社とかの企業体やらは社会的な必要があんまりなくなっていきます。
未来はどうなるのか?
あなたがもし宇宙に行きたいという夢をもっていた場合、難しい試験を通過してNASAに入る必要も、お金をたくさん持っている必要もなくなります。ただ、あなたが宇宙に行くことが社会的に有意義なことであると多くの人を説得できればそれは可能になります。
一方であなたは川に橋を架けたいと思うことがあるかもしれません。橋が少ないせいでいつもひどい渋滞に見舞われるからです。もしそのアイデアに十分多くの人が賛成してくれれば橋を立てることができます。政治家になる必要はありません。
またある時、ふと地球環境を守らなければと思いたつことがあるかもしれません。あなたはすぐにプロジェクトに参加することができます。
資本主義社会では「お金があれば何でもできる」というのが裏ルールでした。
ビットコインの先にある社会では「合意(コンセンサス)があれば何でもできる」という社会になると想像します。
それが自分にとって良いものか悪いものかはともかく、社会の変化を感じて興奮しているのがビットコイナー達なのです。
結言
関西人は無知の知を悟っているのでよく言葉の最後にこう言います。
知らんけど。
というわけなのでビットコインに興味を持ったら自分で調べてみましょう。
*1:Satoshi Nakamoto